こんにちは、ギェギョポンです。
2025年9月8日に皆既月食が起こりました。
晴れれば日本全国で見ることができるよい条件でした。
ギェギョポンは望遠鏡を使って月食の写真を撮ってみました。
写真撮影の合間には、部分食中は欠け具合が、皆既食中には色や明るさが、ゆっくりと微妙に変わっていく様を肉眼と双眼鏡で楽しみました。
本文
月食の説明
月食とは
月食は、月が地球の影の中に入り込んで、月が欠けて見える現象です。
普段は宇宙空間に向かって伸びていて見えませんが、地球にも影があるのですね。影をつくっているのは太陽の光です。
月食の種類
月が地球の影に最も深く入り込んだときに、地球の影の中に完全に入ってしまう月食を「皆既月食」と呼びます。
月が一部だけ地球の影に入り込む月食を「部分月食」と呼びます。
地球の影には、太陽からの光が完全に遮られている「本影」と、太陽からの光が一部届いている「半影」があります。本影は円形で、直径が月の3倍弱あります。半影は本影より大きく、直径が月の5倍弱あり、本影の周りに同心円状に広がっています。
「皆既月食」「部分月食」の説明で言っている「影」は「本影」のことです。
月が本影にさえ入り込まず、半影の中だけに入り込んで終わってしまうことがあります。これを「半影月食」と呼びます。半影月食は、月の明るさの変化がわかりづらいため、月食に数えられないことがよくあります。
月食中の状態
月が一部でも半影(だけ)に入り込んでいる状態を「半影食」と呼びます。
月の一部が本影に入り込んでいる状態を「部分食」と呼びます。
月全体が本影に入り込んでいる状態を「皆既食」と呼びます。
食分
月が本影の中にどれだけ入り込んでいるかを示す数値1が「食分」です。
皆既食では食分の値が「1」以上になります。
今回の月食の経過
今回の皆既月食は次のように進行しました。
経過 | 時刻(2025年9月8日) |
半影食の始まり | 0時26.9分 |
部分食の始まり | 1時26.8分 |
皆既食の始まり | 2時30.4分 |
食の最大 | 3時11.8分 |
皆既食の終わり | 3時53.2分 |
部分食の終わり | 4時56.9分 |
半影食の終わり | 5時56.6分 |
※ 月食は、どの場所から見ても現象の起こる時刻は変わりません。
月食の写真
写真の撮り方
望遠鏡にカメラをつけて、拡大して撮影2しました。
部分食の始まりから部分食の終わりまでの約3時間30分の間、5分おきに写真を撮りました3。
撮影した写真
欠け始め前
部分食が始まるのが1時27分、この写真を撮ったのが1時08分です。
まだ欠け始めていない(月は本影には入っていない)はずなのですが、月の左上部分が暗くなり始めているように見えます。半影には入っていますので、その分 暗く見えるのでしょう。

3分の1ほど欠けた頃
部分食が始まったのが1時27分、この写真を撮ったのが1時40分です。
33分間でここまで欠けました。
左上の暗い部分が地球の本影です。

3分の2ほど欠けた頃
部分食が始まったのが1時27分、皆既食が始まるのが2時30分、この写真を撮ったのが2時10分です。あと20分ほどで皆既食が始まります。
月がその直径の3分の2くらいまで、地球の本影の中に入り込んでいます。

同じときに、より露出をかけて(シャッターを開いている時間を長くして)撮影したのが下の写真です。上の写真ではまったく光っていないように見える左上の部分も、大変暗いのですが、淡く赤黒く見えているのがわかります。

皆既食直前
皆既食が始まるのが2時30.4分(計算上で言うと2時30分24秒)、この写真を撮ったのが2時30分02秒、皆既食(月が地球の本影にすっぽり入り込む)直前の月です。
ただ、地球の影は縁がぼやけていますので、秒単位で正確に考えてもあまり意味がありません。
明るく光る白い部分から、ほとんど見えない左上まで、明るさと色のグラデーションがきれいです。

皆既食中
皆既食が始まったのが2時30分、皆既食が終わるのが3時53分です。この写真を撮ったのが3時00分ですので、月は地球の影に深く入り込んでいます。
これまで月の明るさに紛れて見えなかった周りの星が、月が暗くなったために見えるようになりました。(もっとも、写真の場合には、露出のかけ方4によっても星が写ったり写らなかったりしますので、肉眼や双眼鏡で実際に見てみることをお勧めします。)
皆既食中の月には、太陽の光は直接届きません。しかし、地球の大気を通って赤くなった光が屈折して月面に届くため、月が赤黒い色(よく「赤銅色」と表現されます)になります。
大気を通った光が赤くなるのは、大気を構成する分子が青い光をより強く散乱し、赤い光が残るためです。

皆既食直後
皆既食が終わるのが3時53分、この写真を撮ったのが3時55分、皆既食が終わった直後の月です。
満月は、「お盆のような月」という表現もあるように平面的に見えますが、皆既食直前・直後の月は、なんだか立体的に(球状に)見えるような気がします。

半分ほど戻った頃
皆既食が終わったのが3時53分、この写真を撮ったのが4時35分です。
皆既食が終わってから40分ほどで、月の半分ほどが本影の外に出ました。

部分食終了直後
部分食が終わったのが4時57分、この写真を撮ったのが5時00分です。
計算上は月は本影から出たはずですが、写真では月の右の部分が暗く見えます。月はまだ半影の中にありますので、半影の濃い部分が暗く見えているのでしょう。
月の色が少し赤っぽくなっているのがわかります。これは、月の高度が低くなってきたことで、大気の影響が強くなってきたためです。(夕日が赤く見えるのと同じ理由5です。)
また、日の出が近づいてきて、空が明るく、青っぽくなってきているのがわかります。

スマートフォンで撮った写真
最初は皆既食中の月の写真です。
皆既食が進んだ頃の月は、肉眼ではとても暗く見えました。
この写真は、肉眼で見た感じに近いものになっています。

次は、部分食も終わって、辺りが明るくなってから撮った写真です。
左のほうの地平線のすぐ上に、5時26分に入りを迎える月が写っています。曇ってはいなかったものの湿度が高かったためか、地面がモヤに覆われています。幻想的な光景でした。
自動で調整された写真では色が実際に見た感じと違っていましたので、見た感じに近くなるよう色を調整して撮影しました。

写真の編集
このページでは、月の部分をトリミング(部分的に切り出すこと)した写真を掲載しました。望遠鏡を使って撮影した写真は、そのままでは月が小さく写っているためです。元の写真をトリミングせずにお見せすると、以下のような月の大きさになります。

関連情報
参考
参照した情報
関連する情報
- 国立天文台:
- 月食とは(月食の解説、観察方法、月食の一覧など)
- ほしぞら情報「皆既月食(2025年9月)」(今回の月食の解説)