こんにちは、ギェギョポンです。
最近、学生時代以来長年わからないままだったドイツ語の名詞の性の見分け方を、アニメ『葬送のフリーレン』に気づかされました。
イヌにも星にもパソコンにも関係がありませんし、なんの役にも立ちそうにありませんが、よろしければお読みください。
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学生時代、第三外国語1の授業をいくつも取っていました。留年して暇だったからです。そのひとつとしてドイツ語を勉強しました。
ドイツ語の名詞には性が3つあります。男性、女性、そして中性です。性が違うと冠詞も違ったりするので、3つの性はちゃんと区別しなければ試験に通りません。私は、なるべく楽に性を区別したいと思い、先生に尋ねました。「名詞の性を簡単に見分ける方法はありますか?」先生は言いました。「ひとつひとつ覚えるしかありませんね。冠詞をつけて覚えると、割と簡単に覚えることができますよ。」私は仕方なく、あまりよくない記憶力に鞭打って単語を覚えました。
他の第三外国語のほとんどは、1つの学期だけ かじってやめてしまったのですが、ドイツ語は何度か授業を取りました。そのうちに「やはりそうは言っても名詞の性を見分ける方法がないと しんどいな」と思い始め、何度訊いても無駄かもしれないけれど、今回の質問を一生の最後にしようと覚悟を決めて、もう一度だけ別の先生に訊いてみました。答えは「覚えるしかありません。」このとき、この質問は心の底に封印し、一生この疑問は掘り起こさないと決めました。
時が過ぎ、私は、スペイン語圏でしばらく生活する機会を得ました。スペイン語では、語尾が”-o”ならほぼ男性名詞、語尾が”-a”ならほぼ女性名詞です。もちろん例外もありますし、それ以外の語尾の場合の見分け方もありますが。人の名前も、ディエゴ、ギド、アレハンドロは語尾が”-o”なので男性の名前、ディアナ、フアナ、アレクサンドラは語尾が”-a”なので女性の名前です。
そしてまた長い時間が流れ、2026年1月からテレビで『葬送のフリーレン』(以下”フリーレン”)というアニメ2の第2期の放送が始まりました。第1期から、「話題になっているからちょっと見てみようか」くらいの気持ちで見ていたのですが、結構面白くて見続けています。”フリーレン”の物語はファンタジーで、実在の人物や国が描かれているわけではないのですが、登場人物や地名にはドイツ語っぽい言葉が多く使われています。3
第2期の開始に先だって、2025年10月には“フリーレン”とアサヒ飲料のコラボも始まっていました。アサヒ飲料の自動販売機で飲み物を買ってバーコードをスキャンすると、ポイントがもらえます。ポイントを集めて応募すると賞品が当たるのです。外れてもスマートフォンのオリジナル壁紙がもらえます。私も壁紙目当てで何度か応募をしていました。
4枚目の壁紙に描かれていたのは、カンネとラヴィーネという幼なじみの女性2人でした。ここで急に気になってしまったのです、名前が。「二人とも”-e”で終わっている」ということに。
そういえば、タイトルにもなっているフリーレンと弟子のフェルンは違いますが、フランメ、ゼーリエ、エーレ、ゼンゼ、メトーデと、”フリーレン”には”-e”で終わる名前の女性がたくさん登場します。もしかして…
そこで私は、長い間触れてこなかった封印を解くことにしました。もうずっと開いていなかったドイツ語の文法書4を、おそるおそる開いてみました5。「2. 名詞と冠詞」にざっと目を通したのですが、そこにはやはり、名詞の性を見分ける方法は書かれていませんでした。
しかし あらためてくまなく読んでみると、「2. 名詞と冠詞」の終わり近く「§12. 名詞の性に関する補足」に「名詞の性は、意味や外形によって判別できるものも多い」として「§194」への参照が示されているではありませんか。そして震える手でページをめくる6と、「§194. 名詞の性の判別」に、かつて渇望していた謎への答えが書かれていたのでした。
それによれば、ドイツ語の名詞は、意味や外形(綴り)によっておおよそ見分けがつく場合があるとのことです。語尾の”-e”については「『-e に終わるもの多数』が女性名詞」とありました。”フリーレン”に登場する女性の多くで名前の語尾が”-e”なのも、そんなところが関係しているのかもしれません。他にも見分け方はあり、そのひとつに「『-el, -er, -en に終わるもののほとんど』が男性名詞」ともありました。「フリーレンと一緒に魔王を討伐した男性3人、ヒンメル、ハイター、アイゼンがぴったり当てはまる」と思って小躍りしたのですが、ハイターの綴りが heiter なら名詞ではなく形容詞、アイゼンの綴りが Eisen なら中性名詞ですので、どうやらそれほど単純な話ではないようです。
インターネットを調べたところ、ドイツ語の名詞の性の見分け方について書かれたウェブページがたくさん見つかりました。(例:『名詞の性・数・格』)ドイツ語をちゃんと習得した人にとっては、かなりよく知られたことだったようです。
これで、長年 心に刺さっていた疑問がやっと解けたことになります。清々しさと同時に、多くの後悔が湧き上がってきます。
ああ なぜ、学生のときに文法書をちゃんと調べなかったのでしょう。なぜ、試験勉強でドイツ語の名詞を覚えようとしていたときに、規則性にまったく気づかなかったのでしょう。そして、なぜ先生方は「確実ではありませんが、いくつか見分け方はあります」と言ってくれなかったのでしょう。
先ほどの文法書の「§194. 名詞の性の判別」には続きがあります。「名詞の性は、意味や外形によって判別できるものも多いが、必ずしも容易ではない。当初はひとつひとつの語についてその性を習得するのが望ましい」。先生方は私に、最初から楽な道を求めるのではなく、苦労の先にこそ真実が見える、と伝えたかったのかもしれません。(でも、少しくらいはヒントを言ってよー!)
※ この文章を書いているうちに、もしかすると、私がなにか重大な勘違いをして、無意識に記憶を改ざんし、誤って疑問を封印したのかも、という気もしてきました。人間の記憶がこんなに曖昧なものとは…
関連情報
参考
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・日常をちょっとだけ特別にする魔法キャンペーン | アサヒ飲料
その他
脚注
- 英語が第一外国語で、選択した第二外国語はフランス語、その他の外国語が第三外国語です。
- 原作は、小学館の漫画週刊誌『少年サンデー』に連載中の漫画。
- 実際、”フリーレン”の中の人物名や地名がドイツ語ではどのような意味を持つかを分析したウェブページもあります。(例:『葬送のフリーレン』のドイツ語)
- 『入門ドイツ文法』吉田正勝 著、白水社
- 実際には、本を切断してスキャンし、PDFファイルにしてありましたので、「(本を)開いてみました」ではなく「(PDFファイルを)開いてみました」です。
- これも、見ているのがPDFですので、正しくは「『194』を検索した結果を震える指でクリックすると」です。

